【2026年法改正】50人未満事業場もストレスチェック義務化へ/中小企業が今から準備すべきメンタルヘルス対策

50人未満の会社にもストレスチェック義務化の波
これまでストレスチェック制度は、常時50人以上の労働者を使用する事業場に実施義務が課せられていました。
しかし、近年職場におけるメンタルヘルス不調や精神障害による労災保険請求件数が過去最高水準で推移していることを背景に、制度の対象を50人未満事業場にも拡大する法改正が進められています。
「うちは小さな会社だから関係ない」
そう考えている経営者の方も多いかもしれません。
しかし、厚生労働省の調査によると、心の不調が原因で退職したり1ヶ月以上休んだりした社員がいる事業所のは、社員50人〜99人の企業で19.7%と社員5,000人以上の20.4%に迫る勢いで増加しています。また、会社規模が小さいほど、一人の休職や退職が経営に与える影響は大きく、メンタルヘルス対策の重要性はむしろ高いと言えるでしょう。
なぜ今、ストレスチェック義務化なのか
厚生労働省によると、精神障害に関する労災請求件数は増加傾向が続いています。
背景には、「人手不足による業務負担増」「管理職のプレイングマネージャー化」「カスタマーハラスメントの増加」「テレワークによる孤立感」「職場のコミュニケーション不足」などが挙げられます。
特に中小企業では、「何となく元気がない」「最近ミスが増えた」と感じていた社員が突然休職してしまうケースも少なくありません。
問題が表面化した時には既に深刻化していることも多いため、早期発見の仕組みとしてストレスチェック制度の拡大が進められています。
ストレスチェックは単なる「診断」ではない
ストレスチェックを導入すると、
「うつ病を見つける制度ですか?」という質問を受けることがあります。
しかしストレスチェックの目的は病気を診断することではありません。
目的は、「ストレス状態の把握」「高ストレス者の早期発見」「職場環境の改善」「メンタルヘルス不調の未然防止」です。
つまり、社員個人を評価する制度ではなく、会社全体の健康状態を把握するための仕組と考えるべきでしょう。
義務化への対応だけでは不十分
ここで注意したいのが、ストレスチェックを実施するだけではメンタルヘルス対策として十分ではないという点です。
実際にメンタルヘルス不調者が発生する企業には共通点があります。
例えば、「上司とのコミュニケーション不足」「業務量の偏り」「評価基準の不透明さ」「長時間労働」「ハラスメント」などです。また、不調の原因は職場の問題だけとは限らない。共働きでの育児や親の介護など、従業員が抱える事情も多様になってきています。昨今は仕事と家庭の両立など私生活の悩みが目立ってきており、企業側の対応は一層難しくなっています。
ストレスチェックはあくまで「健康診断」です。
健康診断の結果が悪ければ生活習慣を改善しなければ意味がないのと同様に、働き方の改善まで行わなければ根本的な解決になりません。
中小企業が今から取り組むべき3つのメタルヘルス対策
①管理職教育
部下の不調に最初に気づくのは上司です。
「表情が暗い」「遅刻が増えた」「ミスが増加した」「報連相が減った」
こうしたサインを見逃さない管理職育成が重要になります。
②相談しやすい環境づくり
社員が不調を抱えた時、「相談したら評価が下がるのではないか」と感じさせる職場では問題が深刻化しやすくなります。定期面談や1on1ミーテイングなどを活用し、相談できる環境を整備しましょう。
③職場環境の見える化
離職や休職は突然起きるように見えて、実は前兆があります。
「残業時間」「遅刻・早退率」「有給取得率」「離職率」「ストレスチェック集団分析結果」
こういったものを定期的に確認することで、組織の課題が見えやすくなります。
メンタル対策はコストではなく投資
中小企業経営者の中には、「また新しい義務が増えるのか」と感じる方もいるでしょう。
しかし、人材不足が深刻化する中で、社員が安心して働ける職場づくりは企業の競争力そのものになっています。採用が難しい時代だからこそ、「離職を防ぐ」「休職を減らす」「定着率を高める」ことが重要です。
ストレスチェック義務化は単なる法改正ではありません。
自社の組織課題を見直し、働きやすい職場づくりを進めるきっかけとして活用してみてはいかがでしょうか?
まとめ
50人未満事業場へのストレスチェック義務化は、多くの中小企業にとって大きな転換点となります。
ただし、本当に重要なのは制度対応そのものではなく、その先にあるメンタルヘルス不調の予防と職場環境の改善です。
人材確保が難しい時代だからこそ、「採用すること」よりも「辞めさせないこと」が経営課題になっています。
ストレスチェックの導入を機に、管理職教育や相談体制の整備、職場環境の見える化などに取り取り組み、社員が安心して働き続けられる職場づくりを進めていきましょう。
それが結果として、「離職率の低下」「生産性向上」「企業成長」につながるはずです。

